ピンと立った耳、少し離れた目、そしてなんとも言えない、
ペチャっとした鼻が特徴のボストンテリア。
『
のらくろ』のモデルとしても有名ですが、
最近では、大人気ブランドのモチーフ犬としても、大活躍しています。
子犬の頃は、丸くてコロコロとしている子がほとんどですが、
大人になると、足がほっそりと長くなり、体も引き締まります。
まるでタキシードを着ているかのような、
黒と白のきれいな毛色で、歩いている姿はとても紳士的。
でも、性格は愛嬌たっぷりで、人が大好き。
テリアの中でも小型な方で、室内でも飼育可能です。
このギャップが、ボストンテリアの魅力の一つでもあります。
ボストンテリアの歴史は、他の犬種に比べて、明確にされています。
現在のボストンテリアのもととなった犬の飼育者も
犬名も明らかである事は、とても稀なことです。
1870年頃、アメリカのボストンで、富裕層の人々に雇われていた馬車の
御者たちが、雇い主たちが飼っていた優秀な犬同士を交配させました。
その中で、イングリッシュ・テリアとブルドッグを掛け合わせて誕生したのが
「
ホッパーズ・ジャッジ」と呼ばれた犬で、約13キロも体重がありました。
このジャッジをメス犬「
ジップ」と交配させて生まれたのが
「
ウェルズズ・イーフ」と言う名のオス犬。
その後、「
ウェルズズ・イーフ」を「
ケイト」と呼ばれる小型のメス犬と
掛け合わせ、「
トム」という、ボストンテリアの基礎となったオス犬が生まれました。
さらに、
フレンチ・ブルドッグと掛け合わせて、
現在のボストンテリアの基礎が出来上がりました。
驚く事に、
あらゆるボストンテリアは、この4頭に由来すると言われています。
当初は、今よりももっと大型で、闘犬目的で繁殖がなされていましたが、
時代とともに、闘犬人気がおとろえ始め、徐々に小型化に改良されていきます。
もともとの闘犬の気質が根強かった事から、この潜在的な闘争心を
排除するのに、ブリーダーは相当な苦労をしたといわれています。
苦労に苦労を重ね、小型化が進むに連れて、
性格が徐々に温厚になっていったようです。
その後、1889年までに、ボストンテリアは、この地、ボストンで大変な人気を集め、
愛好者の間で『
アメリカン・ブルテリア・クラブ』という組合まで作られました。
しかし、
”ブルテリア”の名を使用した事で、本当のブルテリア愛好者達から
多大な批判を受けることになります。
その事から、結局、発祥地の名前を取って、
「
ボストンテリア」と改名されることとなりました。
これほどまでに人気の犬種であったボストンテリアですが、あまりにも短い期間での、
それもごく近しい近親での交配だった事から、将来的な不安も拭いきれず、
アメリカケネルクラブ(AKC)も公認には非常に慎重になりました。
結局公認されたのは1893年の事でした。
20世紀前半には、その独特な模様と毛色、断耳された直立した耳で、
アメリカで急速に注目が集まるようになり、もっとも人気のある犬種にまで
登りつめ、今でもその人気は不動のものとなっています。
日本に輸入されたのは1930年頃の事で、すぐさま人気犬種の仲間入りを果たしましたが、
第二次世界大戦を境に、他の犬種の人気もあって、影を潜めるようになります。
しかし、現在はそのユニークかつ愛嬌のある容姿で、
ストレス社会の癒し的存在として、再び注目が集まっています。
◎ボストンテリアのスタンダード
スタンダードとは、犬の純血性を守るため、
その犬の理想の形態や気質などを細かく定めたものです。
多くのブリーダーたちは、そのスタンダードに記載された
ボストンテリアを目指して、日々努力を重ねています。
またドッグショーで活躍する犬達も、
どれだけスタンダードに近いのかを競い合い、
一定の結果を出した犬がCH(チャンピオン犬)として認められます。
ここでは、JKC(ジャパンケネルクラブ)が定めるスタンダードか
らボストンテリアの大きな特徴の部分を、わかりやすく簡単に
まとめてみたいと思います。
1、 一般外見
短い頭部、コンパクトな体格、尾の短い、バランスのよい犬です。
頭部は犬のサイズと釣り合いがとれていて、とても賢く、表情にも表れています。
2、ボディ
背はやや短く、接合部はしっかりしていて、四肢は力強く角度があります。
尾は短く、特徴が目立つため、全体のバランスがとても良いのが特徴です。
ボストンテリアは、体重によって
3段階のクラスに分けられます。
・ライト:15ポンド(6.8kg未満)
・ミドル:15~20ポンド(6.8kg~9kg未満)
・ヘビー:20~25ポンド(9kg~11.35kg)
・体高:38~43cm
3、毛色・毛質
スムースコート(滑らかで光沢のある短毛)で、毛色は、ブリンドル&ホワイト、
シール・ブリンドル&ホワイト、ブラック・ブリンドル&ホワイト、
マホガニー・ブリンドル&ホワイトなど、ブリンドルが基本色としています。
いろいろ見てきましたが、スタンダードからはずれている場合でも、
それはその子の個性であるといえますので、愛情をたくさん注いで育ててあげてくださいね。
ペットとして愛情を注いで飼う分には、スタンダードなんて関係ないですからね(*^o^*)